狩王決定戦2018東京地区大会の感想

誰よりも速く。

戦いの舞台をPS4に移し、今年も最速ハンターを決めるモンハンの祭典狩王決定戦が開幕した。

私はタイムアタックをやらないのだが、大会の観戦は毎年楽しみにしているファンの1人である。
このブログはそんな私やおけんによる、大会の見どころ解説の記録にしていきたい。


【狩王決定戦2018東京地区大会を見た感想】


東京地区大会アーカイブ

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東京という地区


開幕の口火を切る東京は過去の大会でも多くの狩王を輩出している最激戦区である。
今年も名だたる猛者もさが集結した東京大会の上位チームを、私が知っている範囲で紹介していこう。

  • AGentチーム
    2016狩王George氏、2017狩王ああああ氏による狩王コンビである。

  • 導きのK.Rチーム
    KIRA
    氏は東京ゲームショウ2017にて開催された
    トップハンター最速決定戦の優勝者であり、
    狩王決定戦においては2015から3年連続で表彰台に登っている。
    また相方のあっとロア氏も昨年の東京大会を勝ち上がっている。

  • モモハメド腹筋アブドゥルチーム
    毎年チーム名が違うが同じペアで2016から
    3年連続で東京の予選を突破している。




見えざる富士の如し


この錚々そうそうたるメンバーの立ち回りを考察するなどという執筆は、
到底私のようなエンジョイ勢の手に負えるものではない。

山が高いことは誰にも分かるように、彼らがすごいことは私にも分かる。
だが山のふもとからはいただきを見ることができないように、彼らのどこがすごいのかは私には分からないからだ。

だが分からないからこそ書ける記事もある。

霧しぐれ
富士を見ぬ日ぞ
おもしろき

かつて箱根の峠を訪れた松尾芭蕉は、霧に隠れて見えぬ富士を面白いと詠んだ。

見えないものは面白い。
その姿を想像することができるからだ。




東京のクエスト

最初の地区大会となる東京は、今作のメインモンスターネルギガンテがターゲットとなる。
ネルギガンテは破壊と再生をテーマに設計されたモンスターで、
全身を覆う棘を破壊することにより再生し、
時間の経過で棘の肉質が変化していくという特徴を持った古龍である。

また東京大会は爆破というテーマに焦点を置いた設定となっており、
選択できる武器は 爆破属性 を持つものが多くなっている。



選択武器の傾向


決勝クエストで使用された武器の傾向を見てみよう。

8チームに選ばれた武器はスラッシュアックスと
ハンマーの2種だったが、幕張行きを決めた上位4チームは
全てスラッシュアックス×スラッシュアックスという
組み合わせだった。

火力で頭一つ抜けていたスラッシュアックスに対し、
ハンマーはスタンを取れるというメリットがあったが、
結果的にはスタンを捨てて ガチ で狩るという解に
辿り着いたチームが勝ち残った構図だ。

そのスラッシュアックスだが、
力の護符力の爪を所持している事から、
基礎攻撃力に斬れ味と会心率を乗せたダメージ期待値が
246(弱点部位へは264)と、5種の武器の中で突出して高く、
所持している怪力の種回避の装衣によって、
さらに攻撃力を上乗せできる強力な火力枠となっている。



スラッシュアックスの新要素


今作のスラッシュアックスは、

  1. 剣モードで攻撃を当てると覚醒ゲージが溜まる。
    飛天連撃を当てるとたくさん溜まる。
  2. 覚醒ゲージが最大まで溜まると45秒間高出力状態になる。
  3. 高出力状態では剣モードの火力が大きく跳ね上がり、属性解放突きが零距離解放突きに変化。
などといった新要素が追加されている。




立ち回り考察


各チームの立ち回りを見てもらえれば分かる通り、
東京大会はどのチームも非常にハイレベル
見応えのある狩りばかりであった。

そんなハイレベルな戦いの中で
勝敗を分けたポイントはどこにあったのかを考察していこう。

準優勝で幕張行きを決めたAGentチームの狩りを見てほしい。


AGentチームアーカイブ

初動からド派手なシンクロが目を引くが、そこはこの際どっちでもいい。
ここで重要なのは彼らのコンボルートだ。

ゆっくり見ていこう。
ネルギガンテの死角から接近してまず
[R2]抜刀縦斬りこれは普通だ。

[△]右斬り上げ
うん、

[△]左斬り上げ
私もよく使う連携だ。

[×]ステップ
回避の装衣が発動して、

[◯]二連斬り
うむ、いい流れだ。

[R2]変形斬り

[R2]変形斬り

待て待てーい!!

日頃よりスラッシュアックスを担いで狩りに興じる諸君らに問いたい。
二連斬りから[R2]変形斬り[R2]変形斬りなどという連携を使用するだろうか。


否ッ!!



スラッシュアックスを振るうならば、二連斬りの後は飛天連撃であるべきだ。
むしろ二連斬りなどは飛天連撃を放つためだけに存在するとさえ私は思っている。

それをこの究極とも言えるレベルの大会でだ、あまつさトップハンターである彼らの立ち回りから、
初めてのチャージアックス練習中ですの初心者マークがチャンスで焦ってボタンをガチャガチャ押したら
変形斬りからの変形斬りで元に戻っちゃいましたてへっみたいな微笑ましいコンボが飛び出す事態は
はなはだ不自然である。

彼らのこの微笑ましいコンボが意図するものはただ一つ。

ネルギガンテの棘が白くなったタイミングで高出力状態になるように
スラッシュゲージと覚醒ゲージを調節しているのである。



スラッシュアックスの新要素(2回目)


今作のスラッシュアックスは、剣モードで変形斬りを出すとスラッシュゲージが回復するという、
地味だがわりと重要な新要素が追加されている。
AGentチームはこれを利用してスラッシュゲージを管理していたのだ。

またもう1つ。
斧モードに地味な必殺技が追加された。
上位チームに多く見られたアクションで、その名もなぎ払い変形斬り

斧モードの振り回しから派生するフィニッシュ攻撃である。

実はこのなぎ払い変形斬り、3ヒットする2発目の モーション値 70もあり、
3ヒットの合計モーション値は125。
70という数字は大剣の溜め斬りに匹敵する。

どちらも私などは東京大会を見て初めて知ったぐらい地味な新要素なのだが、
上位チームは皆これらの新要素を駆使して高火力とスラッシュゲージの維持を両立しているのだ。




知勇兼備


さて、上の項に書いた覚醒ゲージを調節するというAGentチームの作戦について掘り下げてみよう。

スラッシュアックスの高出力状態は、剣モードで攻撃するたびに爆発の追加ヒットが発生するようになる。
細かい計算式は省くが、強撃ビンによる高出力状態の追加ヒットを縦斬り二連斬りで計算した場合、
与えるダメージが約1.35倍となるのだ。
私がトレーニングエリアで検証したどんぶり勘定なので信憑性は察していただきたいが、まぁだいたい合ってると思う。

余談になるが、なぜ縦斬り→二連斬りで計算したのかについて触れておきたい。
優勝した導きのK.Rチームの狩りを見てみよう。


導きのK.Rチームアーカイブ

剣モードでは縦斬りと二連斬りしか使っていないのである。
これは彼らだけでなく、AGentチームも縦斬りと二連斬りしか使っていない。

縦斬り→二連斬りはスラッシュアックスの剣モードで最も DPS の高いコンボなのだ。
二連斬りは飛天連撃を放つためにあるなんて書いてすいませんでした。

このため今回の剣モードのダメージ計算では縦斬り→二連斬りを使用した。余談終わり。

さて本題に戻ろう。
スラッシュアックスの高出力状態では火力が1.35倍に上がるが、
与えるダメージはモンスター側の肉質にも影響される。

ネルギガンテの弱点である前脚の肉質を例に挙げてみよう。
切断 通常 白棘 黒棘
前脚 50 70 10
ダメージ計算は肉質によって乗算されるため、
肉質が50から70に変化するということは単純に与えるダメージが1.4倍になる(70÷50=1.4)ということだ。

つまりネルギガンテの棘が白かつ高出力状態では
火力が実に1.89倍(1.4×1.35=1.89)にまで跳ね上がるという計算である。

スラッシュアックスの高出力状態は45秒間しか持続しない。
ネルギガンテの棘が白くなるタイミングに高出力状態を合わせる
というAGentチームの作戦は極めて効率的と言える。

まさしく知勇兼備

狩りのテクニックだけでなく、細かいダメージ効率の計算に基いて
しっかりと立ち回りを組み立ててきているところが、彼らの勝者たる所以であろう。




岐路きろ


勝敗を分けた岐路は考察力だった。
最初の地区大会となる東京では他の地区を見て参考にするといった考察ができない中、
自力で速い立ち回りに辿り着く考察力だ。

日頃から闘技クエストに身を置く彼ら特有の嗅覚のようなものがあるのだろうか。

今作のスラッシュアックスは多くの新要素が主たるダメージ源となったにも関わらず、
まるで申し合わせたかのようにクリアタイムの速かったチームほど似たような立ち回り
辿り着いてくるのは流石としか言う他ない。



それでは皆さん、本日も微笑ましい変形斬りを(・∀・)ノシ

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